2007年09月10日

No.180 テレビでも映画でも舞台でも!マルチな歌舞伎役者の魅力に触れる

今でこそ、映画やドラマ、舞台とジャンルを飛び越えて活躍する歌舞伎役者は多い。若手でいえば、市川海老蔵さん、中村獅童さん、そして市川染五郎さんといったところか。いずれもどのジャンルでも、主役を張る人気と実力の持ち主だ。しかし、歌舞伎役者出身でその芸のマルチ振りを見せつけてくれるパイオニアといったら、染五郎さんの父である松本幸四郎さんがもっともふさわしい。

この秋は、テレビドラマに映画そして舞台で、と異なるジャンルで、松本幸四郎さんの演技をまさに同時に見ることができる。これはすごいことではないだろうか。まず、1952年に制作され黒澤明監督の名作として知られる『生きる』。この作品の初のテレビドラマ化の主演をつとめる。定年間近の真面目だけが取り柄の平凡な公務員が、ある日癌で余命いくばくもないことを知らされ、改めて“生きる”ことの意味に向き合うという物語だ。自身も何度も映画を見、共感を覚えたというオリジナル。9月9日(日)21時からのドラマで、どんな味を見せてくれるか楽しみだ。

また、木村拓哉さん主演のフジテレビ“月9”人気ドラマのスケールアップバージョンといえる、『HERO』劇場版にも出演。幸四郎さんはこの作品では木村さん扮する検察官の最大のライバルとなる、弁護士役だ。木村さんをサポートする役柄の松たか子さんとは、実の娘との映画共演になり、それも話題のひとつ。

映画では次女の松さんと共演しているが、現在上演中の幸四郎さん主演の舞台では長女の松本紀保さんと共演。さすが、売れっ子役者ファミリーといったところ。この舞台は、幸四郎さんが座長をつとめる『シェイクスピア・ソナタ』。東京・パルコ劇場で26日まで上演されるストレート・プレイで、シェイクスピアの四大悲劇を演目とする旅回りの劇団を率いる名優が、公演先でもある死別した彼の妻の実家で「五つ目の悲劇」に見舞われるという話。

この作品については、役柄と重なる部分があるためか「役者の家庭はシビアなところがあって、見た目は華やかでも裏には大変なところがあります」。また猛暑が続く中での稽古の日々、「役者は体力だけでなく精神力がないとできない仕事だと、今回はことさらに思いました」と幸四郎さんは語っていたが、65歳とは思えないエネルギッシュな演技が、舞台上で展開されている。

生の舞台でも映像でも、今まさに松本幸四郎さんの魅力に触れるチャンスだ。 (2007.09.07 発行)

 ::: 関連サイト ::: 

テレビ朝日『生きる』公式サイト
映画『HERO』公式サイト
舞台『シェイクスピア・ソナタ』公式サイト

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