2007年05月01日

No.161 80歳、一人暮らし考

新生活がスタートする10代の一人暮らしは、多少の不安はあるものの、新鮮で楽しいことでいっぱいだろう。家族から自立し、自分だけの世界を手に入れた喜びもある。が、同じ一人暮らしでも家族が減り、老齢になった自分がひとりになったときのことは想像しにくい。そこまで行かなくとも、高齢になった親が一人暮らしになったらどうなるか考え、漠然とした不安を覚える人は少なくないはずだ。いずれにせよ、日本の独居老人の数は年々増えているのだ。

5月4日にフジテレビ系でオンエアされる『松本喜三郎一家物語〜おじいさんの台所〜』は、妻に先立たれた80歳の老人が一人暮らし宣言をし、それを実践していく姿を描いたホームドラマだ。原作は佐橋慶女さんのロングセラー・エッセイ。高齢化社会の今、避けては通れないテーマを扱っているが、コメディタッチのストーリー展開なので、世代に関わらず楽しく見られる。

同居をという長女の提案を断り、独身の三女から家事の手ほどきを受け、自立していくおじいさんの様子は微笑ましい。もちろん想像するほどスムーズに生活が切り替えられるわけもなく、悪戦苦闘することになる。ドラマの中では、ボヤさわぎを起こしたり、振り込め詐欺の魔の手が伸びたり、隣家のおばあさんから迫られたり。一人暮らしの老人の身に、いつ起こっても不思議でない事件がいくつも降りかかる。

喜三郎を実年齢ではドラマの設定より4歳上の三國連太郎さんが、そして三女で独身のキャリアウーマンを安田成美さんが演じる。オンエア前の記者会見では、家事とは無縁そうに見えた三國さんが「時々気が向くと料理をする」と語っていたのが意外だった。この年齢の日本人男性は、家事はほぼ妻に任せきりという人が多い。若くても母親に家事のすべてを任せてきたため、お茶ひとつ入れられないなんて人も現実にいる。「男子厨房に入らず」なんて時代錯誤な言葉は忘れ、男子はどんどん台所に立って、将来の準備をしておくべきだと思う。

年をとったからといって、老人ホームに入りたくない人。子どもの世話になりたくない人。そもそも子どももなく、一人暮らしを余儀なくされる人もいるはず。現在はまだ自分自身も親にもあまり関係のないことだ、人ごとだ、などとと思わずこのドラマを見ておくといい。安田成美さんが「“ひとりでもこんなに楽しく生きられる”と感じてもらえたら・・・」というドラマだけあり、年齢を重ねても前向きでいられるパワーをくれるから。 (2007.04.27 発行)

 ::: 関連サイト ::: 

金曜プレステージ「松本喜三郎一家物語〜おじいさんの台所〜」

フジテレビ 公式サイト

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