No.147 俳優・長塚京三さんが語る『映画の話』
シネコンが出来、映画を見る場が増えた。それと同時に、昔の映画を上映する名画座は徐々に消えていく運命にあるようだ。ただ、スカパー!、CSなどで、映画そのものを見る機会は増え、オンエアされる映画のバリエーションはかつてないほどといっても過言ではないだろう。映画チャンネルはいくつもあり、新旧の日本映画に強いところ、韓国映画のオンエア本数を誇るところ、ホラー映画をメインにしたところなどさまざまだ。
ザ・シネマもそんな映画チャンネルのひとつで、人気のハリウッド大作を中心に紹介している。さらにモノクロ映画も含めたクラシック作品にも力を入れ、毎月テーマを決め作品をオンエア中。“アメリカの良心”と呼ばれた名優ジェームズ・スチュアート。マレーネ・ディートリッヒ、エリザベス・テイラー、オードリー・ヘップバーンの3大美人女優たち。スリラーの天才、ヒッチコック監督。こういった特集を組んでいるわけだが、その作品をより一層楽しめる解説番組が『シネマの中へ−長塚京三 映画の話−』。
2006年6月にスタートしたこの番組は、若い映画ファンには古きよき時代の映画情報を、クラシック映画ファンにはなるほどと思うエピソードを上手く織り込み、俳優・長塚京三さんがガイドする5分番組。当然台本はあり、映画評論家の山田宏一さんが監修しているが、収録前には長塚さんとじっくり打ち合わせをする。好きな映画であれば、語りたいこともあり、内容が書き替わることもあるそうだ。ただ「映画が好きな人の雑談は、当人同士は楽しいが、公平な情報をと考えている」と冷静。 そのかわり番組のラストには長塚さん自身の言葉によるコメントが入る。ここでは自身が愛する映画について短いが独自の視点で語る。落ち着いたトークの中に、ピリッとした自己主張があるのだ。
ご想像どおりガイド役の長塚さんは自他ともに認める映画ファン。3歳のとき、父親に連れられて西部劇を見てから、約50年近く洋画を見続けているのだとか。映画についてのコメントはリアルタイムで見たクラシック映画の、そのときの感想が反映されている。膨大な数の作品を見てきた長塚さんだけに、紹介していきたい名画がまだまだたくさんあるという。またクラシック映画ならではのモノクロ作品について、長塚さんは「モノクロは本当はカラーの映画よりも作るのが難しいんです。女の人のキレイさも、髪や肌の色にまどわされることなく、照明に工夫をするなど、モノクロならではの表現方法で描き出されるからです」と、その味わい方のヒントを教えてくれた。
20代〜30代の映画ファンにとっては、クラシックの名作は生まれる前に作られた古い映画でちょっととっつきにくいかもしれない。 が、長塚さんの番組を見た後ならば、以前よりぐっと距離が短くなる気がするはず。 (2007.01.19 発行)
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